株式会社GA technologies様、イタンジ株式会社様

二人三脚のイノベーション(後編)

マーケティング

左からLMP久松 イタンジ株式会社代表取締役野口様 株式会社GA technologies代表取締役社長 CEO 樋口様  LMP高橋

業界の有識者にインタビューを行う当シリーズ。 今回はGA technologies樋口様、イタンジ野口様にに不動産マーケットの見通しや、不動産企業の未来について伺いました。

目次
●不動産というピッチへの臨み方
 不動産の「資産価値」「住む意識」
 不動産業界に必要なマーケティング視点


●競争から共栄の時代へ
 起点はマーケット・イン

不動産というピッチへの臨み方

不動産の「資産価値」「住む意識」

久松 日本において、住宅分野では新築志向がまだまだ根強くあると感じています。政府としては中古市場の流通活性化に向けて推進していますが、この先の不動産市場の見通しについてどのようにお考えでしょうか?

樋口様 今後、リノベーションした分が不動産の価値に加算されるような流れになれば「中古の価値が維持できる」という理由で中古市場が活性化するかなと考えています。アメリカではすでにそうですよね。日本国内においては、2016年に中古マンションの成約戸数が、新築マンションの成約戸数を上回りました。ただ、これはポジティブな理由ではなく、単純に新築が高くなりすぎていることが要因だと考えています。「手が出せないから中古を見てみよう」「実際に見てみたら中古も悪くないな」のようなイメージです。

久松 マンションはインスペクションの範囲や対象を定めやすく、一方、戸建てはマンションと比べて必要な項目が多く、まだまだ価格に透明性がないと感じているのですが、中古戸建ての見通しについて、どのようにお考えでしょうか?

野口様 私はまだまだ時間がかかると見ています。実はつい最近不動産を購入したのですが、一般的な住宅検討層である妻と話していて感じたのが、不動産に関する知識が圧倒的に不足しているな、という点です。妻は「資産性」を一切意識しなかったんですね。要は「自分が住む」観点でしか考えていなかったのです。
 不動産には「資産性」と「住まいとしての価値」の2軸があると考えています。エンドユーザーが資産性を全く意識しないで検討を進めていくと、自分の見たいスペックしか見なくなりますよね。だから売り手側がそこにどんなにスペックを書き足しても、エンドユーザーが見たいと思ってなければ見られることもないです。エンドユーザーが、今よりもっと不動産に対する「資産性」の意識を身に付けるようになると、たとえば書き足したスペックが資産価値としてどれくらい意味があるのかといったことに目が向くようになり、ようやくインスペクションも気になってくると思うのです。

久松 戸建ての上物の価格の可視化には、まだまだ時間かかりそうという事でしょうか。

野口様 そうですね。

樋口様 ただ地方においては、例えばカチタスを始めとした地方の戸建てを再生しようという流れで急成長している企業もあります。一方で、都内の戸建てにおいては、まだまだ新築主流で中古の流通は多くはないですが、新規参入プレイヤーがいつでてくるのかという感じだと思います。
 そもそも不動産って業界出身者以外の人はとっつきづらく、新規事業も生まれづらいと感じています。フィンテックなどと比較してプレイヤーが少なく、参入障壁も高い。さらに戸建てとなるともっと参入障壁が高くなります。業界未経験者がテクノロジーで何かできるかというと、それは難しいのではないでしょうか。順番としては、賃貸が一番早く変わり、売買(マンション)、戸建て、オフィスの順番で変わっていくかなと考えています。


■不動産業界に必要なマーケティング視点

高橋 InstagramやTikTok等のSNSを活用するなど、エンドユーザーの家探しの方法も多様化してきていると感じました。実業をされている中で、エンドユーザー側の変化を感じるところはございますか?

樋口様 購入前のリテラシーは確実に上がっていると思います。アメリカのMLS(※1)と異なり、日本国内では不動産の成約に関する緻密なデータは出ていませんでした。最近はエンドユーザーが情報を取得しやすい環境になりはじめています。10年前と比較すると情報がオープンになりつつありますよね。
(※1)Multiple Listing Service。オープン化された不動産データベースで、不動産業者でなくても物件情報の閲覧が可能

久松 不動産会社さんの「集客~追客~内見対応~申込~契約」、という流れが、この10年で「この部分はすごく進化した」や、「この部分はまだまだ発展の余地がありそう」、「こういう事があれば変わりそう」など、業務の流れでなにか変化を感じるポイントはありますか?

野口様 最近は不動産会社のスタッフが、問合せ顧客に対して、物件を紹介したり、アポイントをとったりする「追客」の面が特に進化していっていると思います。もともとインターネットが普及し始めた際に「集客」の面はかなり進化しました。その後、ある一定ラインを超えたあたりから「追客」を重視する方向に変化していったと思います。成熟したポータルサイト上では仲介会社の差別化が困難になっていき、今度は追客で差別化しよう、ということで、CRMやMAツールの分野が発展していきました。
 追客ツールを活用できている企業とそうでない企業の間には結構差があり、反響発生後の来店割合が50%を超えている企業もあれば、10%近くまで落ち込んでいる企業もあります。「集客」の力の入れ方よりも、「追客」の力の入れ方によって大きな違いが出るようになっているわけですね。

高橋 追客をもっとデジタル化しよう、効率化しようという流れで、MAツールの導入などがここ数年流行っていますよね。ただ、使いこなせている企業は少ない印象です。

野口様 不動産業界にはマーケティング人材が圧倒的に不足しているという背景があると思っています。その上で、情報がデータ化されていないことと、それを扱える人材がいないという2点がかなり大きいと考えています。ポータルサイト経由で集客した顧客情報を、データ化せずにそのまま取引を続行する。エンドユーザーが記入した紙の申込書をシステムに手で入力出来ていればまだいいですが、システムに入力すらされない企業も多いです。いかに便利なツールがあっても、追客時には整理されたデータが必要なので、その点が有効活用に結びつかない要因かもしれないですね。GAテクノロジーズでもその点は初期段階でかなり注力をしていったので、他社との差別化の要因になっているというのはあるかもしれないですね。


競争から共栄の時代へ

起点はマーケット・イン

久松 不動産業界の5年後、10年後がどのように変化するか、現時点でイメージされているものやことを教えていただけますか?

野口様 私は、衰退していくか、もしくは大きく成長するか、その大きな分岐点に立っていると考えています。成長するためには、不動産業界のこれまでのスタイルからいかに脱却できるかどうかが重要で、時にはこれまでの利益を捨てユーザーのために新しい利益を取りに行けるか、という判断が求められていると考えています。
 例えば不動産仲介店舗をたくさん持っている企業というのは、店舗だけに固執してしまうと非常に危険です。新しいマーケットを見つけにいかないといけない。ただ、中には新しいチャンスを見出して新しいプラットフォームのルールで戦おうとするプレイヤーもいます。我々としてはこの新しい領域に乗っかってくれる人たちを巻き込んで、その構造変化のプラットフォーマーになろうとしてます。

久松 2000年代までは、例えば駅前に旅行会社と不動産会社とコンビニそれぞれの店舗がありましたが、いつの間にか旅行会社の店舗が消え、顧客対応をオンラインにシフトしているようです。不動産会社さんの店舗も以前よりは駅前から少なくなってきたと感じてますし、野口さんのお話しを伺いながら、10年後の駅前の風景は確実に変わると思いました。

高橋 モダンスタンダードさんも路面店ではなくオンラインでかなりの集客をされている印象です。いい立地の路面店を出すことが成功要因ではなくなってきてるのでしょうか。

樋口様 そうですね。まさに店舗の必要性は減っていると思います。賃貸店舗がなぜ近隣にあると良いかというと、問い合わせへの対応がスムーズに行えることですよね。例えばエンドユーザーが六本木の物件の目の前にいって、「今から内見できますか」という問い合わせにも、六本木店であれば即座に対応できる。ですが、そういった方の成約率って正直あまり高くないのです。
  また、ふらっと六本木店舗に立ち寄って、営業マンに六本木の物件を探してもらう。ただ、ふらっと店舗に探しにくる方は全体の1割程度です。今ではインターネットも普及し、物件の探し方も多様化していることもあり、店舗が存在することの重要性はそれほど高くないと考えています。

久松 賃貸仲介会社さんのお話しを伺っていると、まだまだ店舗単位やエリアの商圏単位で売り上げ管理をされているようです。これまで重要だった指標から今の時代に合わせた指標を追加したり、新たな指標に変わったりしないと、運営が変わるのは難しいかな、と感じてます。

野口様 当然A店舗とB店舗の相対で考えて、競争を意識しますよね。我々も実業をやっているので競争相手としてみられます。
  ただ、私は、今後は「共栄」が今後の手だと考えています。共栄して新しいテーマ軸で収益を生めるか、プラットフォーマーも含めた火災保険やライフラインなど、様々なビジネスチャンスを広げていく。他の不動産会社と競争するのではなく、ビジネスで目指す方向が同じ相手と組んで、お互いにwin-winになれるような世界で、その上で勝っていくような不動産会社が生き残っていくのではないかと考えています。不動産業界のこれまでのルールでなかなか難しいところはありますが、これからは違うと思います。

久松 最後に一つ質問してもよろしいでしょうか? 5年後10年後、広告代理店やネット集客を行っている会社はどのように変化しているとお考えでしょうか?

野口様 垂直統合によって、よりエンドユーザーのニーズや志向に近い、適切なマーケティング戦略を行える企業が勝ち抜いていくと思っています。

久松 プロファイルを持ってそこにアプローチをかけていく。

野口様 そうですね。パートナーシップか、あるいは自社のみで展開するのかなど方法はあると思いますが、統合していかなければやはり難しいと思います。

樋口様 やはりマーケティング機能の内製化は進んでいくでしょうね。とくに大企業においてはマーケティング機能内製化の流れは大きいです。ただ中小企業が大企業を真似て途中から内製化を進められるか、といったらこれは非常に厳しいと思います。その点、我々は創業当初からいち早くマーケティング機能の内製化を進めてきています。ノウハウをためてPDCAを回し、日々改善を進めています。そういった流れは今後も加速していくのではないでしょうか。


株式会社GA technologies 代表取締役社長 CEO     樋口 龍
1982年東京生まれ。幼い頃より世界的なサッカー選手を目指し、ジェフユナイテッド市原(現J2)に育成選手として所属。24歳の時にサッカー選手としての夢を諦め、ビジネスマンへ転身し不動産会社へ勤務。”巨大なマーケットを形成しながらも極めてアナログな不動産業界にテクノロジーで革命を起こす”と志し、2013年に株式会社GAテクノロジーズを設立し、代表取締役に就任。創業時から中古不動産の流通事業を展開。現在は不動産テック総合サービスの「RENOSY」を運営すると共に、グループ会社を通じて自社開発の不動産業務支援システム(SaaS)を販売し、不動産業界全体のDXに取り組む。

株式会社GA technologies
2013年の設立以来、創業5年でマザーズ上場、2020年は630億円を超える売上を記録し急成長するGAテクノロジーズ。現在は不動産がメインですが、金融、建設、保険等さまざまな領域にテクノロジーを導入して世の中を変えていきたいと考えています。「世界のトップ企業を創る」というビジョンを掲げ、挑戦し続けている勢いのある企業です。
株式会社GA technologiesの会社ページはこちら

イタンジ株式会社 代表取締役 野口 真平
早稲田大学教育学部卒。在学中に同大学主催のビジネスプランコンテストで優勝、学生向け SNS を企画開発し起業を経験。その後、IT企業に入社し、エンジニアとしてシステム設計を担当。2014年2月、イタンジ株式会社に入社。 同社でWEBマーケティング、不動産仲介業務、システム開発、管理会社向けシステムのコンサルティング業務、執行役員を経て、2018年11月代表取締役に就任。2021年4月よりGAテクノロジーズのCOOを兼任。

イタンジ株式会社
2012年創業。「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」をミッションに掲げています。
不動産賃貸領域においてのリアルタイムな業者間サイト「ITANDI BB」や、累計利用者数340万人の顧客管理・自動物件提案システム「ノマドクラウド」、累計電子申込数約40万件の不動産関連WEB申込受付システム「申込受付くん」など、賃貸不動産業界のDXを推進するサービスを提供しています。
イタンジ株式会社の会社ページはこちら

お問い合わせ

CONTACT US

ご依頼・サービスに関する問い合わせ・ご相談など、
お気軽にお問い合わせください。

採用情報

JOIN US

インターネット・マーケティングを通して、
一緒に成長できる仲間を募集しています。