アタラ合同会社様

広告運用者のこれからの必需品

インターネット広告

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左:アタラ合同会社 CEO 杉原様 / 右:LMP 高橋、久松

業界の有識者にインタビューを行う当シリーズ。 今回はアタラ合同会社CEO杉原様に、「広告運用」「インハウス化」「データ活用」についてお話を伺いました。

目次
●広告運用者もプラットフォーマーも、ユーザーの多様性に向き合えているのか
 ➤プラットフォーム時代の思い出
 ➤検索クエリから見える消費者の多様性とSNSの台頭


●便利さ・自動化が変えたモノ・コト
 ➤消費者の態度変容と不動産データの可能性
 ➤広告運用者は上流に目を向け、管理画面だけでなく事業とも向き合うべき

広告運用者もプラットフォーマーも、ユーザーの多様性に向き合えているのか

プラットフォーム時代の思い出

高橋 杉原様は長らくWEB広告業界の中心にいらしたと認識しております。検索広告の黎明期から最近の検索広告への変化について感じられていることを伺えますか?

杉原様 検索連動型広告が日本に登場したのが2000年初頭です。Googleのローンチが2001年、Overtureが2002年の12月、私がOvertureに入社したのがその9月でした。そもそも検索連動型広告をビジネスモデルとして発明したのはOvertureで、私が入社してすぐサービスインしました。ですから、もともと検索連動型広告はOvertureが発明し、それを改良したのがGoogleだという理解をしています。Overtureはこの数年後にYahoo!に買収され、現在はYahoo!の事業の1つとして運営されています。
 当時の検索事情はいまと全然違いまして、Yahoo!が7.8割のシェア、あとはビッグローブ、GooなどのいわゆるISP系でした。ですので、検索のトラフィックを獲得するためにはGoogleもOvertureもYahoo!が主戦場でした。このころはまだABテストという概念が無かったのですが、Yahoo!では、Yahoo!のトラフィックが貴重なのでトラフィックをOvertureに50%、Googleに50%を振ってテストしました。これはかなり先進的な取り組みだったと思います。
 その途中経過ですが、これはGoogleが圧勝でした。Google のCTRはOvertureのCTRの倍程獲得できており、当時からGoogleは広告の品質で勝っていたのです。ただ、あのまま行けばGoogleの勝ちでしたが、運命のいたずらなのかアメリカのYahoo!がOvertureの買収に乗り出し、軍配はOvertureに挙がりました。
 私は2007年までOvertureにいました。役割としては営業戦略をつくる立場で、いまでいうYahoo!の正規代理店制度を数人で立ち上げた形です。その制度がいまの業界に広がっている理解です。広告戦略もAPI戦略も含め様々な戦略を作っていました。当時はまだ海外事情に詳しいマーケッターの方から期待されている程度で、知名度がそこまで高くなかったこともあり、コールドコールなんかも実施していました。トークスクリプトを作って「Overtureと申しますけれどもWEBの集客をしませんか?」とか。
 これは笑い話なのですが電話の向こう側で電話口を押さえているつもりのようでしたが、向こう側から「おばちゃん(=Overture)って言ってるおじちゃんから電話来てるよ!」なんて毎日漏れ聞こえてましたね。

検索クエリから見える消費者の多様性とSNSの台頭

杉原様 当時ユーザーは「検索の仕方がわからない」という状況だっと思います。いわゆるビッグワードでの検索が主流で、それがデータに如実に出ていました。そこから次第に複合キーワード、フレーズが出てくるようになり、その後iモードなどのモバイル版が出てきたことで、ユーザーにとって検索がより身近なものになったのではないでしょうか。
 検索数上位5万キーワードをすべてダウンロードし分析していくと、毎月15%~20%ほどはニューワードでした。先日もYahoo!の担当者に伺ったところ、今も同程度、キーワードが移り変わっているようです。つまり言葉の入れ替わりというのがものすごく早いのです。言葉は多様であり、そして、移ろいゆくという事ですね。
 Yahoo!の検索エンジンも検索結果にタイトルと説明文が出てきますが、あれもものすごい頻度でABテストが実施されています。検索結果で「何文字にするのか」「何行表示するのか」「URLの色をどうするのか」「文字間、行間をどうするのか」といった細かな部分までいつもテストが実施されています。だいたいトラフィックの2%~5%に新しい表示形態を当てて「何をユーザーは求めているのか」を見ているのです。今も昔もユーザーの気持ちは移ろいやすい、何がヒットするかわからないのでABテストを実施するのは大事なのだとここで実感しました。
 多様性の例としてよくお話しするのがiPodです。基本形は「iPod」ですが、実際は「i-pod」「あいぽっど」「アイポッド」「愛ポッド」なんて言う風に検索されていました。なかには「Ipof」というものもありました、これはキーボードのDの隣にFがあるからですね。当時のYahoo!でも月間5,000ほども「Ipof」で検索されていました。目視で5万キーワードを確認し手作業で分類もしていましたが、目視だけで50種類ほどの表記ゆれが確認できました。また、「ユニクロ」も同様で、基本は「ユニクロ」ですが「uniqlo」「ゆにくろ」「Unikuro」「Uniklo」「湯に黒」などの表記揺れもあり、「湯に黒」も月間5,000件のトラフィックがあるという状況でした。
 そこから見えたのは「消費者は多様性を極めている」という点です。今は表記ゆれを検索エンジンが吸収してくれるので、「i-pod」で検索をしたとしても「iPod」が表示されます。

杉原様 現在は、運用者が良い意味でも悪い意味でもそれを気にしなくて済むようになりました。ただ、私自身は「悪い意味でも」とあえて言います。なぜかというとそれを見ないということは消費者の多様性を見落としてしまうことになるからです。
 現在の運用型広告は、URLを指定すればキャンペーンの内容もほぼ自動で作ってくれます。ですが検索連動型広告は今現在、力が弱まっており、ソーシャルの力が強くなっているということを理解しなければならないです。その理由を私なりに申しますと、Googleでさえも時代の変化に取り残されつつあると見ているためです。YouTubeを例にすると、消費者は能動的に検索をし、且つ画面は横長で長尺。これはテレビの時代の名残が色濃い印象です。その点、Tik Tokは完全なレコメンドベースですね。Instagramにも肉薄するほどの月間アクティブユーザー10億人超を有し、動画フォーマットは、縦長、短尺。スマートフォンに合った仕様です。これが消費行動の中心に位置してきているので同じ「動画」のくくりでも時代が変わってきているのです。これも広告運用者は理解しなくてはいけません。


便利さ・自動化が変えたモノ・コト

■消費者の態度変容と不動産データの可能性

杉原様 この流れを分析してみると「Intention Economy(意思の経済)」と「Attention Economy(注意の経済)」の2つがあげられます。
 前者はYouTubeなどがいい例で、消費者は「前のめり」で「能動的」且つ「実用的なものを求め」「探索的」、「計画的」。一方、後者はとくに若い世代になると「Lean Back(寝そべり/ながら)」ものすごく「受け身」で良さそうなものも見つけると買う「感情的」、「偶然的」で「衝動的」な「まぁ、良さそうだから買うか」というイメージです。消費者態度変容については世代的なものの影響が大きいと考えています。消費者の情報の探索の仕方や消費の仕方の変化もものすごく意識する必要があるなと感じています。

杉原様 そういったなかで今後データ活用は肝になります。どんなモノ・サービス・情報が欲しいのか、どのように入手・消費したいか、いつどこで入手・消費したいのか、こういったものをデータとして活用して広告やマーケティングを当てていかないと難しい状況になっていくと考えています。
 不動産業界に対して昔から思っていることは、業界の特徴として「データがとにかく多い」ということです。ユーザー側もデータを使って物件を選ぶことに慣れてきているという状況です。しかし、CRMや1st Partyデータが活用しづらく、且つ「物件名」に代表されるようにデータが正規化/標準化されていないため、データの使い方が難しい業界だなと思っています。
 キーポイントは「物件についてのメタデータの収集・活用」で、中間業者として「データの正規化/標準化」を担えると強くなれるイメージです。そして「自動化・AI/機械学習」の活用でまだまだやれることがある優良なデータが多い面白い業界だなと見ています。

広告運用者は上流に目を向け、管理画面だけでなく事業とも向き合うべき

杉原様 広告運用者の役割の話に戻ります。入稿・入札はプラットフォーマーにより自動化されており、レポーティングはまだ手作業で行うシーンはあるものの、一方でBIツールやダッシュボードを使用することで、作業がやりやすくなってきている印象です。そうなると、手を動かしてナンボの運用者が役割を問われているいま、どこを目指すかという問題が出てきます。
 私としては、やはり上流を目指すべきなのかなと思います。動的検索連動型広告といった、プラットフォーム側の広告配信の自動最適化が進化していけばプランニングすら必要なくなると考えており、より事業戦略・全社戦略・サービス戦略の部分に貢献できないと運用者の役割が薄まってしまうような予感がしています。これは弊社のメンバーにもよく伝えていることで「クライアントの事業、サービスなどの戦略を担えるようにしましょう」と言っています。

久松 広告運用者がより上流に向かわなければいけないということで、超えなくてはならない壁があると思いますか?そしてそれは経験によるものなのか、視点によるものなのか、スキルなのか何かが足りないせいでそこを越えられない気がしています。杉原様の思うポイントはどこにありますか?

杉原様 ポイントは様々ですが、大きくは日本企業において「マーケティング」の社内の位置付けが欧米に比べると高くなく、経営の課題になっていないというのが課題としてあると思います。
 企業の体制上、上流にマーケティングを位置づけられないというのは広告主・事業主の課題として多分にあると思います。ただ、広告代理店側からもクライアントへ、「経営課題の一つとしてマーケティングを考えてください」という働きかけをしないと事業主は変わらないと思います。
 あとは、現状では広告運用者やマーケッターのスキルセットや、意識的に「果たしてそこまで口出ししていいのだろうか」と尻込みしている印象もあります。クライアントは自分たちの課題が見えていない場合があるので、第3者目線での意見は必要だと思いますから、これからはそういった働きかけを積極的に進めていくことが不可欠になると思います。


杉原 剛 アタラ合同会社CEO
KDDI、インテルでコンサルティング営業、マーケティングに従事。2002年にオーバーチュアの立ち上げメンバーとして営業戦略全般を担う。2007年にグーグルのAdWords、YouTube広告事業の戦略立案、オペレーション設計、APIエバンジェライズに携わった後、アタラ合同会社を創業し、代表を務める。WebAPIを活用した各種システム開発、マーケティングとITを融合した各種コンサルティングを行う。その傍ら、多くの起業、事業相談に対するアドバイスや支援を実施している。

アタラ合同会社
2009年9月10日設立。デジタルマーケティング支援企業。大きく分けて2つの事業を柱とする。1つは、API を活用した広告データ集計システムやレポートエンジンの開発、ダッシュボードの構築などを含むテクノロジーコンサルティング事業。もう1つは、運用型広告を中心としたコンサルティング/オペレーション、インハウス支援、トレーニングなどを含むナレッジコンサルティング事業。 2020年末、アナリティクス及びデジタルメディアのコンサルタント会社であるMightyHive(日本法人 - MightyHive株式会社、本社:東京都渋谷区、日本担当カントリーマネージャー:松崎亮、代表:クリストファー・マーティン)と業務提携開始。
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